私たちはふいに危険と並列状態にいることに気付かされる。
ほんの数十センチの際を人間の肉体など木っ端みじんに砕いてしまうほどの衝撃が通り過ぎる。
おそらく文明が開かれていない頃には、このあたりマムシかイノシシが私たちを脅かしていたのだ。
まあ、鎌か棒っきれでも持っておれば、心強かったろうと思う。

文明とは恐ろしいものなのだ。
いや、人のあくなき欲望が恐ろしい。
車、電車、飛行機、原発、
戦車、ミサイル、核兵器、
人にとって便利であり、そして保護してくれているのだと。
マムシに注意という看板があった。
線路に入らないでという看板もあった。
見上げれば青い空と陽の差す山々が実に美しかった。