倉橋孝彰詩集より 「登山道」
2018.04.11
新荘川の中流域の石の橋?・・・実際はコンクリートだけど
石橋のようにも見えます。

夕刻の静寂の中、川の流れと鳥の声が聞こえています。
サワサワの空気感です。






「登山道/夕刻」


黄金色の太陽光線が
斜めになり
黒い陰を引いて
段々と色褪せてゆくと
山の際々から
ホロロ、ホロロ、
ホロロと
ほんとうの風が吹いてくる


身体を抜ける風が
ぶるるんと
魂を振動させた


静まり返る夕暮れに
一人歩く登山道は
黄色い光りがとても寂しい
汗が冷たく
足音が森に沈んでゆく


眠り始めた小さい道が
白く浮き上がって
大蛇のようにうねる


そうして
大きな光が消え
黒い木々の背丈が伸び
盛り上がる夕刻の夜の山頂に
冴え冴えと
青白い月が
冷たく光っている


詩集「境界」より (倉橋孝彰)
2018.04.11 20:57 | 固定リンク | 文芸

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