インスタレーション(12) 土管の憂鬱
2016.12.30
題名:「土管の憂鬱」
藤子不二雄の作品によく土管が登場した。
設置前に野積みされた土管は弱き者たちの場所。
隠れ家であったり、住み家であったり、ごろりとなかに寝転がって悠々自適な時を過ごすのだ。
土管の上は急造の舞台となり、パーフォーマンス者にとって最高の場としての役割を果たすこともあったかもしれない。

この野積みされた土管は、本業の治水の役割を終え、放置されたままに苔生え朽ちてゆく。
怖がってこどもたちは近づかない。
通り掛かる人々にはうっとおしい風景となる。
もはや
粉々に砕かれ、舗装道路の下に封じ込められてしまう他にない。
「おい、治水事業でこの国を守ってきたぞ。」
「早く消え去れだって?」
「そう、破滅を晒すか、消滅して無となるかだ。」
藤子不二雄の作品によく土管が登場した。
設置前に野積みされた土管は弱き者たちの場所。
隠れ家であったり、住み家であったり、ごろりとなかに寝転がって悠々自適な時を過ごすのだ。
土管の上は急造の舞台となり、パーフォーマンス者にとって最高の場としての役割を果たすこともあったかもしれない。

この野積みされた土管は、本業の治水の役割を終え、放置されたままに苔生え朽ちてゆく。
怖がってこどもたちは近づかない。
通り掛かる人々にはうっとおしい風景となる。
もはや
粉々に砕かれ、舗装道路の下に封じ込められてしまう他にない。
「おい、治水事業でこの国を守ってきたぞ。」
「早く消え去れだって?」
「そう、破滅を晒すか、消滅して無となるかだ。」
インスタレーション(11) 終焉と誕生
2016.12.20
インスタレーション(10) 半島の木造骨格に集う
2016.12.19
インスタレーション(9) ポルシェ911sと手群
2016.12.19
題名:「ポルシェ911sと手群」
かなり古いポルシェである。
911sというタイプ。
こういう車を所有している人は、けっこうなマニアか変人・奇人か、はたまたお金持ちのボンぐらいですが。

こちらはオブジェ探索モードなので、普段と違って話しかけ易くなっていたのか、勇気をもって(笑)声をかけた。
で、まあ、それほどの変人奇人ではないにしても、若干、マニアックな初老の元大工のオジサンでした。
見た目、親和性はかなり薄そうな方でしたが、リアのエンジンボックスをあれやこれやと観察していましたから
「故障ですか?」
なんて話から、いろいろ外車談義となりました。

ポルシェおじさん、私が手を並べて写真を撮ったそのあと、ちょっと違和感を感じたのか(笑)、お礼にコーヒーを誘いましたが、お断りされて、そそくさと帰ってしまいました。
かなり古いポルシェである。
911sというタイプ。
こういう車を所有している人は、けっこうなマニアか変人・奇人か、はたまたお金持ちのボンぐらいですが。

こちらはオブジェ探索モードなので、普段と違って話しかけ易くなっていたのか、勇気をもって(笑)声をかけた。
で、まあ、それほどの変人奇人ではないにしても、若干、マニアックな初老の元大工のオジサンでした。
見た目、親和性はかなり薄そうな方でしたが、リアのエンジンボックスをあれやこれやと観察していましたから
「故障ですか?」
なんて話から、いろいろ外車談義となりました。

ポルシェおじさん、私が手を並べて写真を撮ったそのあと、ちょっと違和感を感じたのか(笑)、お礼にコーヒーを誘いましたが、お断りされて、そそくさと帰ってしまいました。
インスタレーション(8) 手招きする手群
2016.12.19
題名:「手招きする蔵」
この蔵の前を通るたびに、蔵の中に私が過去に失われた何某のものが置かれているんじゃないかと思う。
例えば、十年前に亡くなられた高校時代のガールフレンドの弾いていたエレクトーンとか・・・
うっすらと埃をかぶった白い布が
突然はらりと落ちたりするのだ。
ここは彼女の地元だから、十分あり得る。
蔵の瓦の上の手群がつぎつぎに手招きをする。
そそくさと小走りで抜けるに越したことはない。
誰かが作業しているときもある。
それでつい誘惑に負けて、半開きの扉から覗き込むことがあった。

蔵のなか、高い小窓から射す陽がスポットライトのように、ひとりの少女と一匹の猫とが戯れている姿を映し出した。
少女は紫色の着物を着て黄色い帯をしていた。
猫は灰色に黒と白との縞模様である。
互いに顔合わせのように対面していたが、不意にこちらの気配に、縞模様の猫がこちらを見た。
その猫の瞳は、子供のころに覗き込んだ井戸の暗い底、濃い青緑色の水面にきらりと映った光と影と同じだった。
瞳は強い恨みの色であった。
あれから十数年、猫はもう寿命が尽きたかもしれない。しかし、少女は成年して大人になっただろう。
紫色の着物と黄色い帯はきっとこの蔵の行李の中にあるに違いない。
この蔵の前を通るたびに、蔵の中に私が過去に失われた何某のものが置かれているんじゃないかと思う。
例えば、十年前に亡くなられた高校時代のガールフレンドの弾いていたエレクトーンとか・・・
うっすらと埃をかぶった白い布が
突然はらりと落ちたりするのだ。
ここは彼女の地元だから、十分あり得る。
蔵の瓦の上の手群がつぎつぎに手招きをする。
そそくさと小走りで抜けるに越したことはない。
誰かが作業しているときもある。
それでつい誘惑に負けて、半開きの扉から覗き込むことがあった。

蔵のなか、高い小窓から射す陽がスポットライトのように、ひとりの少女と一匹の猫とが戯れている姿を映し出した。
少女は紫色の着物を着て黄色い帯をしていた。
猫は灰色に黒と白との縞模様である。
互いに顔合わせのように対面していたが、不意にこちらの気配に、縞模様の猫がこちらを見た。
その猫の瞳は、子供のころに覗き込んだ井戸の暗い底、濃い青緑色の水面にきらりと映った光と影と同じだった。
瞳は強い恨みの色であった。
あれから十数年、猫はもう寿命が尽きたかもしれない。しかし、少女は成年して大人になっただろう。
紫色の着物と黄色い帯はきっとこの蔵の行李の中にあるに違いない。